第039章 欲しくない

その言葉を残すと、橋本東祐は佳代の反応も待たずに部屋に戻った。

伊藤佳代は目に涙を浮かべ、橋本奈奈に向かって叫んだ。「こんな目に遭わせて、これで満足なの?あなたったら、家庭を壊す厄介者、前世で私に借りでもあるの?」

橋本奈奈の一言で橋本東祐が通帳を見ようとし、この件が発覚したことを思い出し、伊藤佳代は全ての怒りを橋本奈奈にぶつけた。

「奈奈、今回はやり過ぎよ。これは私たちのお母さんなのに、どうしてこんなひどいことができるの」橋本絵里子は、まだ橋本奈奈が白洲隆と親しくなれる機会があることを妬み、必死に橋本奈奈を中傷した。

「私の本当のお母さんかどうか分からないけど、あなたの実の母親であることは確かね。あなたは成績が悪くても、家の貯金を全部使って学校に行かせてもらえる。私は成績が良くても、無理やり仕事をさせられる。一体誰が誰に借りがあって、誰が借りを返しているの?」