木下おじいさんは橋本絵里子と橋本奈奈の区別がつかなかったが、子供たちの成長を見守ってきたわけではないので仕方がない。
しかし、この二つの名前は区別できていた。
二ヶ月前に伊藤佳代が自分に助けを求めてきたのは、橋本絵里子のためだったことを思い出し、木下おじいさんは笑いながら首を振った。木下家と白洲家が隆の家庭教師を探すのは難しくなく、どんな優秀な教師でも頼むことができた。
ただ、隆の頑固な性格では、教えたい人がいても、隆が学ぶ気になるかどうかは別問題だった。
木下おじいさんは、橋本奈奈が白洲隆の同級生であり、普段から隆の面倒を見ることができると考えた。それに、橋本奈奈の成績は橋本絵里子と比べものになるだろうか?
どう考えても、橋本奈奈の方がこの役割に相応しかった。