第038章 仕事を探しに行け

木下おじいさんは橋本絵里子と橋本奈奈の区別がつかなかったが、子供たちの成長を見守ってきたわけではないので仕方がない。

しかし、この二つの名前は区別できていた。

二ヶ月前に伊藤佳代が自分に助けを求めてきたのは、橋本絵里子のためだったことを思い出し、木下おじいさんは笑いながら首を振った。木下家と白洲家が隆の家庭教師を探すのは難しくなく、どんな優秀な教師でも頼むことができた。

ただ、隆の頑固な性格では、教えたい人がいても、隆が学ぶ気になるかどうかは別問題だった。

木下おじいさんは、橋本奈奈が白洲隆の同級生であり、普段から隆の面倒を見ることができると考えた。それに、橋本奈奈の成績は橋本絵里子と比べものになるだろうか?

どう考えても、橋本奈奈の方がこの役割に相応しかった。

「もちろんできますよ。何の問題もありません」橋本東祐は太ももを叩きながら承諾した。「ちょうど最近、うちの奈奈は中学1年と2年の内容を復習しているところなんです。隆くんと一緒にやるのも悪くないでしょう。二人で互いに監督し合って、共に成長できますからね」

やっと木下おじいさんとの関係を修復し、恩返しもできる機会なので、橋本東祐が断る理由はなかった。

「では、そういうことで決まりだ。奈奈さん、今後何か困ったことがあれば、引き続き私に相談してくれていい。私ができないことでも、白洲家が何とか助けてくれるだろう」木下おじいさんは橋本東祐の肩を叩きながら、暗示的に言った。

本来なら、白洲家の人が橋本家に来るはずだった。

最終的に木下おじいさんが来たのは、まず、木下おじいさんが橋本家の人々と親しく、橋本東祐は木下おじいさんが一手に育て上げた人物だったからだ。

次に、白洲家の人々は今回の出来事に本当に驚いており、白洲隆の側を離れようとせず、木下おじいさんが代わりに来ることになったのだ。

「?」橋本東祐は疑問の表情を浮かべた。何が困ったことがあれば木下おじさんに相談できるということなのか?自分は木下おじさんに何を頼んだというのか?

橋本東祐は恩を知る人物で、木下おじいさんの引き立てを受けて以来、自分から何かを求めることは決してなく、すべて木下おじいさんの指示通りに動いていた。木下おじいさんに何か要求したことなど一度もなかった。