橋本東祐がそう言ったのは、本当に決心がついたからだった。
妻の偏愛はもう一日や二日の話ではなく、しかも非常に深刻で、もし二人の娘を妻に任せたら、下の娘は間違いなく妻の手で台無しにされてしまうだろう。
橋本東祐が橋本絵里子を伊藤佳代に任せる勇気があったのは、まず伊藤佳代が元々橋本絵里子を可愛がっていたからで、伊藤佳代に橋本絵里子の面倒を見させれば、橋本絵里子が軽視されることを心配する必要がないからだ。
二つ目は、今日これほど多くのことが起きたが、橋本東祐は橋本絵里子が反抗期なだけだと思っていた。結局、思春期の子供はみんなそうだから。
本質的に、長女はまだ良い子で、彼が気を使う必要はなかった。
橋本東祐がここまで言ったので、伊藤佳代は反論できず、百二十円を手に取り、考えた末にポケットからさらに四十円を足して、長女に渡した。