これだけの事が起きた以上、橋本絵里子はもう以前のような家庭での特別な地位を望むことはできないだろう。
彼女の望みはそれほど大きくなく、ただ学校に通い続けられることだけを願っていた。
橋本絵里子については、今後彼女が自分に関わってこない限り、自分も彼女のことは気にしないつもりだった。
もちろん、もし母と橋本絵里子が以前のように自分をいじめ、黙って耐えさせようとするなら、今日のように必ず反撃するつもりだった!
そのことを理解すると、橋本奈奈は勉強に集中できるようになった。
書斎で、父と娘が向かい合って座っていた。座るなり、橋本絵里子は頭を下げ、哀れっぽくポロポロと涙を流していた。
橋本絵里子がこのように泣いているのを見て、橋本東祐は長いため息をついた。「もういい、泣くのはやめなさい。一体何を泣いているんだ?」
橋本東祐が先に口を開くのを聞いて、橋本絵里子は少し安心し、涙を拭いながら言った。「お父さん、私が悪かったの。奈奈の成績が私より良いことを妬んでいたの。お父さん、今日のことは本当に故意じゃなかったの。実は、今日そんなに焦ったのは、通帳のことがあったからなの。お母さんが私のために良くしてくれて、付属高校に通わせるために家のお金を全部使ってしまったことは分かっているわ。私も一生懸命勉強したいの。でも家に本がなくなって、それにお父さんにあんな変な本を見つかってしまって。お父さん、私焦ってたの、怖かったの。家族がこんなに私のために尽くしてくれたのに、私が何も恩返しできないんじゃないかって。焦れば焦るほど、勉強が身に入らなくなって。でも奈奈は...奈奈は最低の成績でも私よりずっと良くて、それに奈奈は副級長で、毎年賞状をもらってるのに、私には何もないの。」
橋本絵里子の声は非常に無力で、傷ついた小動物のような悲鳴を上げていた。
橋本絵里子の言葉は少し支離滅裂だったが、橋本東祐は理解できた。
要するに、橋本絵里子も付属高校に通うためにあまりにも多くのお金を使ってしまったことを知っており、しかも夏休みの自分の態度が悪かった。
家に実の妹がいて比較対象となり、長女は自分の過ちを重ねて両親の不興を買うことを心配していたのだ。