金の話をすれば感情を傷つけ、感情の話をすれば金を傷つけるとよく言われる。
彼女と橋本絵里子の間にはもう何の感情もない。この人生で、彼女のものである金は、一銭たりとも橋本絵里子には渡さないつもりだ。
「どうしてないの?お金がなければ、どうやって古本を買ったの。奈奈、私たちは実の姉妹じゃない。お金があるのに手元に置いたまま、私に貸してくれないなんて、冷たすぎるんじゃない?」橋本絵里子は声を柔らかくして言った。「奈奈、今回は本当に急いでいるの!ただ借りるだけよ、必ず返すから。」
「言ったでしょう、お金はないって。そのお金はもう全部使っちゃったわ。」橋本奈奈は頑なに金がないと言い張った。「それに、何にお金が必要なの?どうしてそんなにお金に困ってるの。正当な理由があるなら、お父さんお母さんに言えばいいじゃない。お父さんお母さんは誰かを疎かにするとしても、あなたを疎かにすることはないでしょう。」