言葉を出してしまった以上、橋本絵里子は不機嫌でも、大人しく一緒に宿題をするしかなかった。
お金の問題はまだ解決していなかった。勉強にあまり熱心ではない橋本絵里子は宿題に集中できず、ぐずぐずしているうちに、橋本奈奈がほとんど宿題を終えても、橋本絵里子はまだ1ページしか終わっていなかった。
本を読みながら、静かに観察していた橋本東祐は、このことに気づいて密かに眉をひそめた。
やはり、長女は勉強向きではないのかもしれない。
奈奈は宿題に一心不乱で、全く気が散ることなく、効率も良いが、絵里子は全くダメだった。
幸い絵里子は長女だから、長女が大きくなったら婿養子を迎えて、自分と妻が面倒を見ていれば、絵里子の成績が悪くても人に馬鹿にされることはないだろう。
橋本東祐は橋本奈奈をもう一度見つめ、目に光るものが宿った。