言葉を出してしまった以上、橋本絵里子は不機嫌でも、大人しく一緒に宿題をするしかなかった。
お金の問題はまだ解決していなかった。勉強にあまり熱心ではない橋本絵里子は宿題に集中できず、ぐずぐずしているうちに、橋本奈奈がほとんど宿題を終えても、橋本絵里子はまだ1ページしか終わっていなかった。
本を読みながら、静かに観察していた橋本東祐は、このことに気づいて密かに眉をひそめた。
やはり、長女は勉強向きではないのかもしれない。
奈奈は宿題に一心不乱で、全く気が散ることなく、効率も良いが、絵里子は全くダメだった。
幸い絵里子は長女だから、長女が大きくなったら婿養子を迎えて、自分と妻が面倒を見ていれば、絵里子の成績が悪くても人に馬鹿にされることはないだろう。
橋本東祐は橋本奈奈をもう一度見つめ、目に光るものが宿った。
奈奈は優秀で、将来きっと出世するだろう。
橋本東祐は分かっていた。婿養子になろうとする男は、どこかしら条件が劣っているものだが、そのような婿養子の方が大人しくていい。
もし奈奈が優秀な男を見つけたら、その男は当然、子供に橋本の姓を継がせることはないだろう。
そう考えると、橋本東祐は自分の計画がうまくいくと思い、また本を読み続けた。
このような「温かい」雰囲気は、夜9時頃まで続いた。橋本奈奈は自分の宿題と学習計画を終え、本を閉じて伸びをした。
「もう遅いから、二人とも早く寝なさい」橋本奈奈が動き出すと、橋本東祐が言い出した。
「はい」橋本奈奈はほっとして、伸びをしてから歯を磨いて顔を洗い、それから寝る準備をした。
橋本奈奈が解放されたと思った時、パジャマを着た橋本絵里子が枕を抱えて自分の部屋の前に立っているのを見た。
「...」橋本奈奈は口角を引きつらせて「どういうこと?」と聞いた。
「今夜は一緒に寝るの」橋本絵里子は笑った。どうせ二日間の時間があるのだから、橋本奈奈からお金を取れないはずがないと思った。
前に橋本奈奈に「貸して」と優しく頼んだ時、橋本奈奈が素直に「貸して」くれていれば、気分が良くてお金があれば、本当に返したかもしれない。
でもこんなことになった以上、橋本絵里子は一旦お金を手に入れたら、絶対に橋本奈奈に返さないと決めた。橋本奈奈が自分の好意を無視したのだから。