第053章 あなたが奈奈さんですか

「奈奈、さっきの言葉は自分で言ったんだからね。人は約束を守らなければいけないわ。もし成績が悪くて付属高校に入りたいと思っても、絵里子の件を持ち出さないでよ」

「お母さん、安心して。約束は守ります」

「橋本さん、奈奈の言葉も聞いたでしょう。だから、お金のために無理して働いて、体を壊さないでください。絵里子は今成績が上がってきて、これから大学にも行くし、お金のかかるところがたくさんあります。体は革命の本、お金を稼ぐのは焦らないで」

伊藤佳代は、橋本東祐が二人の娘の教育費のため、そして奈奈が絵里子と同じような状況になるのを防ぐために、外で副業をして貯金しようとするのではないかと心配していた。

伊藤佳代から見れば、橋本東祐が今から貯金しても無駄だった。

何年も貯めたお金でも、木下おじさんの助けがあってやっと絵里子を付属高校に入れることができたのだ。