第054章 これからは俺が守る

「奈奈さん?」この名前を聞いて、橋本奈奈は少し驚いた。

「そうだよ、みんな私たちの団地には二人の橋本がいるって言ってるじゃん。お前の姉さんが絵里子で、お前が奈奈さんだろ」白洲隆は右手にギプスを巻いて、だらしない態度で、少し軽薄な感じで言った。「なかなか可愛いじゃないか、奈奈さんって呼ぶのも間違いじゃないな。弥生時代の美人は見たことないけど、お前はまあまあの美人と言えるんじゃないか」

「……」白洲隆のちょっと品のない、むしろ軽薄な言葉を聞いて、橋本奈奈は口角を引きつらせながら、隣の席の白洲隆を上から下まで観察した。

白洲隆が落ち着かない様子で目を逸らし、彼女と目を合わせられず、さらに重要なことに、白洲隆の耳が赤くなっているのを見て、橋本奈奈はようやく理解した。白洲隆がこれまで軽薄な言葉を言っていたのは、実は彼女にお礼を言おうとしていたのか?