第069章「喜び」「死んだ」

彼女は生まれ変わった人物で、理解力と受容力は同年代の人よりも少し優れていた。

さらに重要なのは、自分が何を望んでいるかを知っていたので、努力を惜しまず、一心不乱に取り組み、少しずつ進歩するのは当然のことだった。

しかし白洲隆は違った。白洲隆は興味が薄く、彼女と一緒に勉強するのを強いられていた。

白洲隆はそれほど努力もせずにこれだけの進歩を遂げられた。彼女と比べると、白洲隆こそが生まれながらの学者だった。

「ほら、この問題をどうやって解いたのか説明してくれ」白洲隆は顎を上げ、橋本奈奈の驚いた表情に非常に満足していた。

「いいわ、まず数学の教科書を出して。知識のポイントを説明してから、解き方を説明するわ」

二時間目は国語の授業で、田中先生の喜びとは対照的に、木下先生の表情は前回よりもほんの少しだけ良くなっていた。「テストを返すから、自分で見て、よく反省しなさい」

同じような状況が再び起こり、木下先生の言葉は明らかに橋本奈奈に向けられていた。

「木下先生、私がテストを配ります」井上雨子は笑った。数学では橋本奈奈に及ばなかったが、木下先生のこの表情を見ると、国語は確実に橋本奈奈より良い点数を取れたはずだ!

前回、橋本奈奈が85点で自分が89点だったことを思い出し、井上雨子はますますテストを配る気が高まった。

「そうね、配ってください」木下先生はテストを井上雨子に渡した。

井上雨子は誰がどの班にいるか知っていたので、一列目の生徒にテストを渡し、後ろに回すだけでよかった。配るのもかなり早かった。

井上雨子はすぐに自分の点数を見つけた。88点。前回より1点下がったが、悪くない点数だった。

ようやく橋本奈奈のテストを見つけ、名前を確認した後、井上雨子は点数の欄に目を向けた。すると、笑顔が凍りついた:九、92点?!

井上雨子は激しく動揺し、テストを配るのも忘れて橋本奈奈のテストを見始めた。橋本奈奈がこんなに早く国語で90点以上を取れるはずがない、きっと先生の採点ミスがあるはずだと思った。

橋本奈奈の作文を見ると、前回と同じように1点しか減点されていなかった。自分の作文が5点も減点されたのと比べると、井上雨子は十数発の平手打ちを食らったような気分だった。