第070章 待遇は上がっている

橋本奈奈は、橋本東祐が自分に白洲隆の家庭教師をさせるために偉人の言葉まで持ち出したのを聞いて、口元を引き攣らせ、笑うことができなかった。「分かりました」

「よし、じゃあ勉強に励むんだぞ。邪魔はしないから、家のことは全部お母さんに任せておけ」橋本東祐は少し興奮した様子で橋本奈奈の肩を叩き、それから伊藤佳代にも念を押して、家にいる時は絶対に奈奈の勉強の邪魔をしないようにと言い聞かせた。

その言葉を聞いた伊藤佳代は、非常に不満そうだった。「私は一日中仕事で疲れ果てているのに、家の仕事がこんなにあって、あちこち忙しいのに、なぜ娘に手伝わせちゃいけないの?橋本さん、あなたの言い方がおかしいと思わない?」

「何がおかしいんだ。他の家だってこうやって暮らしているじゃないか?」橋本東祐は呆れて笑った。職場には昼間仕事をして、夜は家に帰って子育てをする女性の同僚がたくさんいるのだ。