たとえ彼女にお金があって本屋で選べたとしても、こんなに自分に合った本を見つけられたかどうかわからない。
橋本奈奈が家に帰ったとき、橋本東祐と伊藤佳代はすでにいた。奈奈は鞄を置き、伊藤佳代の興奮した顔を見た。その目は蛍光灯よりも輝いていた。道で拾い物でもしたのだろうか?
「絵里子は本当に優秀よ。名門校は名門校だわ。この付属高校は本当に素晴らしいわ。絵里子を付属高校に入れたのは、私の人生で最も正しい決断だったと思うわ。」
「そうだな。お金は絵里子に渡してもらったか?」橋本東祐も笑みを浮かべ、誇らしげな表情で言った。「絵里子は家にいないけど、今日は少し良い料理を用意して、お祝いしようじゃないか。」
長女がこんなに優秀で、橋本東祐は本当に嬉しかった。
「いいわよ!」伊藤佳代はすぐに同意した。「今日は特別メニューよ。これも全部絵里子のおかげね。」
そう言いながら、伊藤佳代は意味ありげに奈奈を見た。絵里子のお祝いでなければ、絵里子がいない時にこんな良い料理を、この生意気な娘のために用意したくなかった。
「奈奈が帰ってきたな。」機嫌の良い橋本東祐は何を見ても良く見えた。「奈奈、絵里子が学校で県の作文コンテストに参加する機会を得たんだ。お姉ちゃんは本当に進歩したよ。」
「県の作文コンテスト?」その名前を聞いて、奈奈は驚いて眉を上げた。こんな偶然があるのか?
でも、橋本絵里子の書く作文で、本当にコンテストに参加する資格があるのだろうか?
「そうだよ。奈奈、高校に入ったら、お前も絵里子のように県の作文コンテストに参加するチャンスがあるだろう。」次女の成績の方が良いことを考えると、橋本東祐は次女も将来きっとこういう機会があると思った。