第074章 ペンが全部壊れた

二百円が百四十円になり、伊藤佳代はまだ痛い思いをしていたものの、やはり六十円節約できたことに、密かにほっとして、料理を作りに行った。

伊藤佳代のその様子を見て、橋本奈奈は皮肉っぽく口角を歪めた。

さっきその二百円を取っていたら、たとえ橋本絵里子が県の作文コンテストに参加できるという良い知らせでも、母の食欲を取り戻すことはできなかっただろう。

自分のためにちょっとでもお金を使うことで、母が食事も味わえず、夜も眠れなくなることを考えると、もう何も言えなかった。

あっという間に、二週間が過ぎ去った。

土曜日、井上雨子は朝早くから学校に行って先生を待っていた。学校が借りたバスが到着すると、井上雨子は嬉しそうに乗り込んで席を選んで座った。

「あれ?今日もまだ私たち四人だけ?学校から五人選ばれたんじゃなかったの?」みんな早く来すぎたのか、しばらくすると、井上雨子はいつも一緒に作文の特訓を受けている三人のクラスメートを見かけた。

「分からないわ」もう一人のクラスメートも首を傾げていた。

「井上さん、あなた1組でしょう?」井上雨子の後ろに座っているクラスメートは冷ややかな笑みを浮かべて言った。「本当に知らないの?それとも知らないふりをしているの?」

「それはどういう意味?」私、何かしたっけ?

「橋本奈奈の作文はあんなに素晴らしいのに、二回のテストでほぼ満点だったじゃない。この五人目は誰だと思う?橋本奈奈は学校が早くから決めていたのよ」橋本奈奈というこの特別な例に対して、不満を持つ人もいたが、どんなに不満があっても、橋本奈奈の作文を読んだことがある人は認めざるを得なかった。話をしているこの人もそうだった。

彼女は井上雨子よりもずっと敏感で、五人のはずなのに四人しかいないことに気づき、とっくに自分の先生に聞いていた。

そしてこういう結果になった。最初は納得できなかったが、国語の先生が橋本奈奈の作文を見せてくれて、やっと黙り込んだ。

認めはしたものの、心の中では相変わらず気分が良くなかった。

今、井上雨子がそう言うのを聞いて、このクラスメートの心はさらに不愉快になった。

「え?橋本奈奈は学校が早くから決めていたの?」井上雨子は目を見開いた。まさか橋本奈奈が本当に五人の一人だったの?「じゃあ、どうして特訓にずっと来なかったの?」