第072章「持ち上げて殺す」

木下先生の言葉を聞いて、橋本奈奈は「すごい!」と叫びたい気持ちでいっぱいでした。これはいいですね:「木下先生がそう手配してくださるなら、もちろん先生のおっしゃる通りにします。」

「お世辞が上手いね。いいよ、戻りなさい。研修には参加しなくていいけど、自分なりに少し準備はしておきなさい。」木下先生は橋本奈奈の言葉に笑みを浮かべました。

「ご安心ください、しっかり準備します。」

橋本奈奈が戻ってくるのを見て、井上雨子は彼女を何度も見つめました。

国語の学級委員として、井上雨子は橋本奈奈の作文を何度も見ていたので、彼女の作文のレベルについてはある程度理解していました。

もし橋本奈奈もこの作文コンテストに参加するなら、自分が五つの枠の一つを獲得することも、コンテストで賞を取ることも危うくなるでしょう。

学校の予選で井上雨子は試験会場で橋本奈奈を見かけなかったので、やっと安心しました:なんと、橋本奈奈はこの作文コンテストへの参加を断ったのです。本当に良かった!

井上雨子にもそれなりの実力があり、五つの枠のうちの一つを確保することができました。

研修が始まると、井上雨子は本来五人いるはずなのに、なぜか四人しか研修に参加していないことに気づきました。

作文コンテストでいい成績を収めたいと思い、井上雨子は余計なことは聞かず、ただひたすら自分と戦い、良い作文を書いて賞でも取りたいと考えていました。

「この女、頭おかしいんじゃない?」橋本奈奈の前を通るたびに、まるで雄鶏のように尾を天まで上げんばかりの井上雨子を見て、白洲隆は呆れました:「一体何のつもりだよ?」

「何のつもりもないでしょう。作文コンテストに参加できて嬉しいだけじゃない。」橋本奈奈は全く気にせず、いつも通りでした。

井上雨子の友達がどんな噂を広めているか、橋本奈奈はとっくに聞いていました。

要するに、成績が良くても何の意味があるのか、作文コンテストにも参加できないじゃないか、1組の国語は重要な時には井上雨子がクラスの名誉を守らなければならないと。

「お前は?参加しないのか?」白洲隆は井上雨子の態度が気に入らず、作文コンテストごときで:「参加したいなら、俺が何とかして五つの枠を六つにしてやるよ。」

「必要ないわ。私には枠があるの。その時は私も行くわ。」橋本奈奈は首を振りました。