第60章 学ぶも学ばぬも自由

二人とも実の娘なのに、奈奈も橋本東祐が自ら望んで産んだ子なのに、木下おじいさんには橋本東祐がどうしてこんな事態を引き起こしたのか理解できなかった。

木下おじいさんが疲れた様子を見て、橋本東祐はもう一言も発せず、黙って立ち上がり、その場を去った。

橋本東祐が木下おじいさんを知って以来、たとえ第二子を産むために部隊を去ったことで失望されても、こんな言葉を言われたことは一度もなかった。

「奈奈、帰ってきたのか」橋本東祐が橋本家に戻ったとき、橋本奈奈はもちろん帰っていた。

橋本奈奈は一瞬戸惑い、それから「お父さん」と呼んだ。

末娘の冷たい態度を見て、橋本東祐はため息をつき、奈奈は田中さんを恨んでいるだけでなく、実は自分のことも恨んでいるようだった。

「勉強するところかな?」