伊藤佳代は呆然としていた。橋本さんはいつからこんなに冷酷になり、絵里子にこんなに冷たくなったのだろうか?
「絵里子にはあなたがいるじゃないか。あなたが家計をうまく切り盛りすれば、絵里子は必ず学業を続けられるはずだ。それに、たとえ学費をすぐに払えなくても、学校はすぐに退学させたりしないだろう。何か方法を考えればいいじゃないか。でも絵里子はプライドの高い子だから、学費を滞納したまま学校に通わせたら、勉強に集中できないだろう。一つアドバイスするけど、お金はもっと慎重に使った方がいい。絵里子が学校で困らないようにね。この前の作文の件で、すでに先生に良くない印象を与えてしまったんだから。ここまで言えば、あとは自分で考えてくれ」
以前は、本当に田中さんを甘やかしすぎていた。田中さんが絵里子をここまで甘やかすことを許してしまった。