第090章 コネを作る

橋本絵里子は自分の面子を失いたくなく、授業料を滞納したくなかったが、橋本奈奈のことになると、当然のように思っていた。

「奈奈は今、あの生意気な態度で、頑固で、以前のように言うことを聞かなくなったわ。私が頼んでも、奈奈が私の言うことを聞くと思う?」伊藤佳代も馬鹿じゃない。以前から奈奈という娘が大嫌いで、もちろん、今でも嫌いだった。

でも比べてみれば、奈奈は間違いなく従順な娘だった。

東へ行けと言えば、西へは行かず、歩けと言えば、走ったりしなかった。

でも今は、一言言えば、奈奈は十言返してくる。奈奈が黙っていても、彼女の言うことなど全く聞いていない。

「ママ、前は奈奈こんなじゃなかったのに、あの時の熱を出してから、なんだか変になっちゃったわね?」橋本絵里子は眉をひそめ、不思議そうにつぶやいた。

「言われてみれば、本当にそうね。何か知ってるのかしら?」伊藤佳代は唇を噛んで言った。

そう言いながら、伊藤佳代は意味ありげに橋本絵里子を見た。

橋本絵里子は怒って足を踏んだ。「ママ、前に奈奈が誰かが夜中に窓を開けたって言ったことのこと?私は関係ないって言ったでしょ!」

「はいはい、関係ないわ。でもあの時から、奈奈は確かに変よ。何かに取り憑かれたんじゃないかしら。性格が前とまったく違うわ。」

「本当にそうよね。」橋本絵里子は頷いた。以前は両親が喧嘩するたびに、少し奈奈の耳元で煽れば、奈奈は馬鹿正直に盾になって、両親の怒りを鎮め、自分の利益を犠牲にして、ママがパパの前で面目を失わないようにしていた。

最近は……

この半年間、奈奈が伊藤佳代に近づくことはなく、むしろ遠ざかっているように見える。橋本絵里子はますます不思議に思えてきた。

「ママ、奈奈いったいどうしちゃったのかしら。こんなに変になって。前みたいだったら、何の問題もないのに。」橋本絵里子は、かつての自分の言うことを何でも聞いてくれた奈奈を心から信じていた。

あの頃、橋本絵里子は奈奈を見下していたが、今思えば、あの頃の日々は本当に良かった。