第119章 横暴な坊ちゃま(加更)

こんなに育ててきたのに、恩知らずの狼を育ててしまったのか?

宏を実の兄弟のように扱えとは言わないが、こんなに息子を冤罪に巻き込むのはどうかと思う。

「お兄さん、私が悪かったんです。あの日、家の前で見かけた人があなただと思ったんです。それなのに、その日は家に誰もいなくなってしまって...」大野宏は白洲隆を「申し訳なさそうに」見つめ、白い顔に黒くて輝く瞳、澄んだ声で話すその姿を見て、白洲瞳は思わず心配そうに彼を後ろに庇った。

「ほら、ただの誤解で、わざとじゃないでしょう」と言って、白洲瞳はため息をついた。「でも、この件については宏、隆お兄さんに謝らないといけないわ。あなたの見間違いのせいで、先生が特別に白洲家まで来てくれなかったら、お兄さんは一科目か二科目を受けられなくなるところだったのよ」