第118章 清算

「やばい、私、作文がまだ書けてないよ。」

「今年の古文読解すごく難しかった。適当に書いちゃった。」

「もう言わないで、試験終わったばかりで頭痛いよ。」

試験時間が終わると、橋本奈奈と同じ試験会場の生徒たちから悲鳴が上がった。今日の国語の試験は難しめで、受験生たちの表情は暗かった。

みんなが答え合わせをしている中、黙々と荷物を片付けて外に出ようとする橋本奈奈だけが異質な存在だった。

「白洲隆!」白洲隆の試験会場に走って行くと、白洲隆は疲れた顔で、服もしわくちゃになっているのを見て、橋本奈奈は眉をひそめた。「今朝はどうしたの?」

あと5分遅れていたら、白洲隆は試験会場に入る資格さえ失っていたところだった。

「ちょっと待って、トイレで顔を洗ってくる。」白洲隆は顔色が悪く、男子トイレに走って行って冷水で顔を洗い続け、襟元まで濡れてようやく止めた。