第123章 なるほど分かってたのね

「ママ、私のことを一番よく考えてくれてるって分かってたわ」望んでいた答えを得て、橋本絵里子は笑顔で言った。「ママ、友達と新しいワンピースを買いに行く約束をしたの」橋本絵里子は長く「ママ」と呼びかけ、伊藤佳代の心は甘く溶けていった。

伊藤佳代は長いため息をついた。「絵里子、あなたも知ってるでしょう。今年はあなたの学費のために、ママはもう...普段から、節約できるところは節約してね。着る服がないわけじゃないでしょう。買っちゃダメとは言わないけど、少なくとも買いすぎないようにしてね」

「分かった分かった、今回だけよ。約束する。このワンピースを買ったら、夏休み中はお金を要求しないわ。実は友達と相談済みなの。夏休みに一緒にバイトに行くことにしたの。そうしたら、何か買いたいものがあっても、ママにお金を要求しなくて済むわ」

「バイト?それは大変じゃない。バイトするなら奈奈に行かせなさい。日焼けして見た目が悪くなったらどうするの」伊藤佳代はすぐに反対の意を示した。

「ママ、私が無理するわけないでしょう。このバイトは大変じゃないの。ちゃんと対処できるから、信じてね」橋本絵里子は伊藤佳代の腕を抱きしめながら言った。「ママ、お金を稼いだら、最初の給料で必ずママにプレゼントを買うわ。その時は、プレゼントが小さすぎるって言わないでね」

「そんなことないわ。分かってくれてればいいの」伊藤佳代は飴を食べたかのように甘い笑顔を浮かべた。

水を汲みに来た橋本奈奈は、母と姉のバカみたいな会話を聞いて、呆れて笑った。「お姉ちゃん、バイトに行くの?」

今年の入学時、橋本絵里子の学費をどうやって工面したのか知らないけど、きっとママが稼いだわけでも以前から貯金していたわけでもなく、誰かから借りたんだろう。

借金は返さなくていいの?

橋本絵里子が本当にバイトできるなら、お金を貯めて、ママに学費を少なめに要求すればいいのに?

橋本絵里子が自分のために使うのは本当で、ママへのプレゼントは単なるおだてで、それなのにママは橋本絵里子のおならまで香りがいいと思っているような態度。これが橋本奈奈が最も呆れるところだった。