第135章 救いを求めても道なし

橋本奈奈は義理の姉よりも道理をわきまえているし、叔父たちにもできることは限られていた。「わかった、奈奈、叔父たちは君を困らせるつもりはないんだ」

「ありがとうございます」橋本奈奈は軍人たちに深々と頭を下げ、謝罪と感謝の意を示した。「こんなにご迷惑をおかけして、本当に申し訳ありません」

橋本奈奈の説得により、彼らはようやく不満げに立ち去った。

彼らが去るとすぐに、伊藤佳代は飛び上がらんばかりに焦った。「この馬鹿娘!お父さんは今手術代もないのに、あの人たちにお金を返すなんて、お父さんに死んでほしいの!」

伊藤佳代には返事をせず、橋本奈奈は暗い表情で医者の方へ向かった。「先生、どうか父を助けてください。手術は絶対にしなければなりません。医療費は一部もう支払いました。本当です、これが今支払った領収書です。今すぐ父の手術をしてください。残りの費用はすぐに支払います」

医者は橋本奈奈の手にある六千円の領収書を確認して「わかりました」と答えた。

「先生、父の手術には輸血が必要ですよね。私と姉は父のために先に献血できますか?」

「ええ、できますよ」医者は少し驚いた。今どきの学生がこんなにも物事を理解しているとは思わなかった。

「お姉ちゃん、献血に行きましょう」橋本奈奈は橋本絵里子の手を引いて歩き出した。

橋本絵里子は怖がっていたが、この時は橋本奈奈に手を引かれて歩く以外何もできなかった。

「私も行こうかしら?」伊藤佳代は、自分たちが献血すれば橋本東祐の医療費が少し安くなるかもしれないと気づき、じっと座っているわけにはいかなかった。

「私と姉の血液型は父と同じだと思います。でも献血前に検査が必要です。お母さん、あなたの血液型は違います」橋本奈奈は首を振った。彼女と橋本絵里子の血液型が合わない場合も面倒だ。

「大丈夫よ、私の血を抜いて。お父さんに使えなければ、お金に換えればいいわ。今は少しでもお金を集められるだけ集めないと」伊藤佳代は橋本奈奈の隣について、一緒に献血に向かった。

しかし看護師は伊藤佳代を見て少し驚いた様子で「また来たんですね。今回は随分時間が経ってますから、また献血できますよ」

「お母さん、前に来たことがあるの?」橋本奈奈は眉をひそめた。「いつの話?」