第134章 雪に霜を加える

「付属高校の学費は高いけど、そこまでおかしな額じゃないでしょう?」同僚は信じられない様子で伊藤佳代を見つめた。「つまり、橋本絵里子が付属高校に通えるのは、あなたたちがお金で買い取ったってこと?」

一人の娘のために家のお金を全部使い果たし、何の蓄えも残さないなんて、橋本家には橋本絵里子しかいないとでも言うの?

同僚はこの状況があまりにも馬鹿げていると感じた。

同僚が最も受け入れがたかったのは、橋本東祐がこんな大変な事態に陥ったのに、最後にお金を出せたのが橋本奈奈というただの子供だったことだ。橋本奈奈は実力で得た奖学金を差し出したのに、感謝されるどころか、伊藤佳代に平手打ちを食らった。

その瞬間、同僚は橋本東祐の家がなんてこんなに奇妙で異常なのかと思った。

一言で言えば、重要な時に、橋本東祐の嫁は全く頼りにならず、橋本奈奈という子供の方がよっぽど実直で、だからこそ橋本奈奈が中学校の成績で一番になれたのだろう。