第139章 斎藤昇が駆けつける

橋本奈奈が家の片付けを終え、おかゆを作って病院に持って行った時には、すっかり日が暮れていた。

橋本奈奈が橋本東祐の病室に入ると、橋本絵里子が病床の横で気持ちよさそうに眠っているのが見え、伊藤佳代はまだ来ていないようだった。

橋本奈奈はおかゆを置き、橋本東祐のベッドの側に行こうとした時、突然後ろから現れた人に驚かされた。

「驚かないで、僕だよ」斎藤昇は自然に橋本奈奈の腰に手を回し、もう一方の手で彼女の口を軽く押さえた。他の人を起こさないようにするためだった。

「斎藤お兄さん?」聞き慣れた声に、橋本奈奈の緊張は一気に解けた。「用事があるって言ってたじゃないですか?」

「任務は終わった」斎藤昇は淡々と言った。「橋本おじさんの具合はどう?」

「医者は24時間の経過観察が必要だと言っています」