第116章 中学入試

「お姉さんとお母さんがこのまま続けば、お姉さんが完全にお母さんに甘やかされて歪んでしまうんじゃないかと心配だわ。お母さんの図々しさも本当に増す一方ね。まあいいわ、こんな話をしても仕方ないわ。今年は中学校卒業試験だから、しっかり頑張りなさい」

「分かりました」橋本奈奈は頷き、気持ちを切り替えた。その後、長い間、彼女は本当に伊藤佳代と橋本絵里子のことに関わらなかった。

どういうわけか、この問題のある母娘は長い間、橋本奈奈を煩わせることもなく、橋本絵里子も姉妹の「情」を利用して橋本奈奈に助けを求めることもなかった。

「奈奈さん、もう一ヶ月で中学校卒業試験だけど、緊張してる?」普段勉強をしっかりしない白洲隆が、やっと勉強に少し力を入れ始めたが、時間が経つのがこんなにも早いとは思わなかった。あっという間に卒業試験だ。

「緊張なんてしてないわ。何を緊張することがあるの」橋本奈奈は冷静に、机の上に広がった試験用紙を見つめた。三日に一度の小テスト、五日に一度の大テスト、毎日何枚もの練習問題。

この状況で、何を緊張することがあるだろうか。「どう、怖くなった?」

「怖いわけじゃないんだ。ちょっと自信がないだけで」白洲隆は珍しく正直に言った。「他の生徒は九年間しっかり勉強してきたけど、僕は真面目に勉強し始めてまだ一年も経ってないんだ」

「自信がないのは当然よ。でも私を信じなさい」橋本奈奈は白洲隆の肩を叩きながら、半分皮肉っぽく、半分励ますように言った。

「まったく」白洲隆は目を回した。「そんな風に自分を褒めるやつがいるか」

「いるわよ。目の前にいるじゃない」橋本奈奈はニヤッと笑い、真っ白な歯を見せた。

白洲隆は言葉を失い、口の端を引きつらせた。頭を切り替えて、奈奈さんと言い争っても勝てたためしがない。からかわれるくらいなら、問題を何問か解いた方がましだと思った。