第151章 斎藤お兄さんは違う

どういうわけか、斎藤昇は心の中に名状しがたい怒りが湧き上がり、橋本奈奈に対する口調は今までにないほど厳しく真剣なものとなった。それに驚いた橋本奈奈は思わず姿勢を正して座り直した。

「知っておくべきだが、今の社会の人々は非常に複雑だ。お嬢ちゃんは、安全意識を持たなければならない。保健の授業で習ったはずだが、男は女に対して侵略的な本能を持っているんだ。普段ニュースを見ているだろう?自分の視点だけで世界を見たり、外の人々、特に男を見たりしてはいけない。」

「斎藤お兄さん、それは少し大げさじゃないですか?ニュースって、強姦事件のことですか?そんなこと、私には起こらないと思います。」橋本奈奈は少し困惑した。斎藤昇が心配してくれているのは分かるが、少し大げさな表現だと感じた。