第150章 斎藤お兄さんが怒った

橋本東祐は腹の中に溜まった怒りを発散できず、一時的に体の利かない廃人のように寝たきりになっていた。伊藤佳代はさらに銃口に向かって突っ込むように、不用意な行動を取った。橋本東祐が伊藤佳代を責めずに、誰を責めるというのか?

橋本東祐は黙り込み、伊藤佳代も心中穏やかではなく、夫婦二人は沈黙を保ち、お互いを無視し合った。

橋本家では、橋本絵里子は戻ってきたのが橋本奈奈だと知って、少し驚いた。

しかし橋本奈奈は帰ってきても、彼女に病院での夜勤を頼まなかった。橋本絵里子はそのまま黙っていて、伊藤佳代が帰ってこない理由も聞かなかった。「奈奈、もうこんな遅いのに、夕食作ってよ。それと、私の服も洗濯してちょうだい。私、疲れちゃって。」

橋本奈奈が帰ってきたので、橋本絵里子は全ての家事は橋本奈奈がやるべきだと思い、自分はようやく手を休められると考えた。

「確かにお腹が空いたわ。」橋本奈奈も橋本絵里子が自分のために食事を作ってくれるとは期待していなかった。言いにくいことだが、橋本絵里子の性格からすれば、もし本当に橋本絵里子が食事を作ってくれたら、橋本奈奈は食べる勇気がないだろう。その食事に毒が入っているのではないかと心配になるからだ。

橋本奈奈は米を炊き、白菜を切って小皿一杯分炒めて、テーブルに置いて食べ始めた。

橋本絵里子は眉をひそめて嫌そうな顔をしたが、結局何も言わなかった。「奈奈、私の分は?」

「台所にあるわ。自分で盛って。」橋本奈奈は顔も上げずに言った。

あっという間に、橋本奈奈は食事を済ませ、使った食器を洗い、身支度を整えて、さっぱりした姿でベッドに入った。その間、橋本絵里子とは一切会話を交わさなかった。

橋本奈奈のこの態度に、橋本絵里子は非常に不快感を覚えた。

やっとの思いで食事を終え、橋本奈奈の着替えた服を見て、橋本絵里子は目を回しながら、自分の脱いだ服を橋本奈奈の服と一緒に投げ入れた。

彼女は、こうしても橋本奈奈が自分の服だけを取り出して、自分で洗うように言うとは思えなかった。

考えた末、橋本絵里子はさらに井戸水を少し注いで、二人の服を完全に濡らしてしまった。

それをやり終えてから、橋本絵里子は自分の部屋に戻り、扇風機をつけて、やっとのことで眠りについた。