第149章 腹に溜まった邪気

「この件については、お父さんと話をつけるわ」橋本絵里子の背中をポンポンと叩きながら、伊藤佳代は大変な苦労をして、やっと絵里子を落ち着かせることができた。「お父さんは今回、本当に頭を打って変になってしまったのかもしれないわね。こんなに偏り過ぎるなんて。奈奈は彼の娘で、あなたはそうじゃないっていうの?安心して、お母さんがいる限り、誰にもあなたをいじめさせないわ」

「お母さん、どうあっても、今夜の付き添いは絶対にしません。もう病院にも行きたくないわ。行けば、お父さんがまた人前で何か言い出して、私が断れなくなって、まるで奈奈だけが親孝行な娘みたいになってしまう。そんな恥ずかしい思いはもうしたくないの。お母さん、こうしましょう。後で病院に行って、私が具合が悪くて、今日は行けないって伝えて。明日じゃなくて、明後日に行くって」

彼女は既に二晩続けて付き添いをしたのだから、次は当然奈奈の番のはず。一人二晩ずつ、それが公平で、誰も得をしないやり方だった。

「そうね、そうしましょう」

そうして、伊藤佳代が橋本東祐に絵里子が体調不良だと伝えている時、絵里子は実際には伊藤佳代が買ってきた弁当を食べながら、チキンレッグをかじっていたのだった。

「絵里子が具合悪くて、病気だって?」橋本東祐は目に皮肉な色を浮かべながら、もう一度尋ねた。

「そうよ。絵里子はとても親孝行な子で、二晩も付き添ってくれて、もう体が限界なの。今日は奈奈に付き添わせて、絵里子には数日休ませてあげましょう」伊藤佳代はきっぱりと言い、そして首を回して奈奈に向かって言った。「もう大人なんだから、怠けすぎて虫が湧くようなことはやめなさい。家に帰ったら、お姉ちゃんの服を全部洗いなさい。二日も溜まってるのよ。恥ずかしくないの?」

伊藤佳代のこの言葉を聞いて、隣のベッドの患者が笑い出した。「ねぇ、橋本さん、この話を聞いていると、なんだか大きい娘さんの体は豆腐で作られていて、小さい娘さんの体は鉄で作られているみたいですね?」

一人は二日付き添っただけで数日休まなければならず、もう一人は何日も連続で付き添っても平気だというのは、おやおや、この家族の状況は奥さんの言う通り、何か問題があるようだ。