「この件については、お父さんと話をつけるわ」橋本絵里子の背中をポンポンと叩きながら、伊藤佳代は大変な苦労をして、やっと絵里子を落ち着かせることができた。「お父さんは今回、本当に頭を打って変になってしまったのかもしれないわね。こんなに偏り過ぎるなんて。奈奈は彼の娘で、あなたはそうじゃないっていうの?安心して、お母さんがいる限り、誰にもあなたをいじめさせないわ」
「お母さん、どうあっても、今夜の付き添いは絶対にしません。もう病院にも行きたくないわ。行けば、お父さんがまた人前で何か言い出して、私が断れなくなって、まるで奈奈だけが親孝行な娘みたいになってしまう。そんな恥ずかしい思いはもうしたくないの。お母さん、こうしましょう。後で病院に行って、私が具合が悪くて、今日は行けないって伝えて。明日じゃなくて、明後日に行くって」