第161章 すべては縁だね

「奈奈?」橋本東祐は少し驚いた。先日、手塚お兄さんは奈奈を息子の嫁にしたがっていたのに、今日の奈奈は手塚お兄さんの息子を知っているような様子だった。もしかして……

「この前は本当にありがとうございました」奈奈は気まずそうに笑った。実は目の前の男性の名前も知らなかった。ただ軍人だということだけは分かっていた。

「あ、君か?」手塚勇は顔を赤らめた。さっきまで気勢を上げていたのに、急に緊張して、手も足もどこに置いていいか分からなくなった。「ああ、思い出した。確か家族が病気で、この病院に入院してるんだよね」

「はい」橋本奈奈は頷いて、バッグを下ろし、今日のスッポンスープを注いで橋本東祐の前に置いた。「父が入院しているんです」

「あ、お、おじさん、こんにちは」手塚勇は橋本東祐が誰だか分かると、すぐに90度の深々とお辞儀をした。

橋本東祐は怪我のせいで今は動きづらかったが、そうでなければ手塚勇のその様子に驚いて飛び上がっていただろう。「奈奈、手塚お兄さんの息子の勇くんを知ってるの?」どういう状況なのか、説明してくれよ。

「あなたが手塚おじさんの息子さんだったんですね」橋本奈奈は少し驚いた。世間は本当に狭いものだ。

「奈奈、おじさんじゃなくて、おじいさんと呼ぶべきだよ」橋本東祐は訂正した。以前は親しくなかったから、奈奈がおじさんと呼んでも問題なかったが、今は状況が分かったので、おじさんと呼ぶのは適切ではない。

「手塚おじいさん」

「ああ、いいよいいよ」もし父さんと呼んでくれたら、もっといいんだけどな。「勇、奈奈ちゃんと知り合いなの?」と言いながら、手塚剛の目には悪だくみの光が浮かんだ。やっぱり妻の言う通りだった。

手塚剛は妻に感心したまなざしを送り、手塚お姉さんは誇らしげに顎を上げた。よく言うでしょう、息子は私が産んだんだから、息子の性格や好みの女の子のタイプくらい分かるわよ。

「勇や、奈奈ちゃんとはどうやって知り合ったの?あなたはいつも部隊にいるじゃない?」手塚お姉さんは考えてみると、少し不思議に思った。道理で、末っ子は奈奈ちゃんのようないい子と知り合う機会がないはずだ。

勇は毎日部隊にいて、家に帰る機会も少ない。奈奈ちゃんはまだ子供で、学校に通っている。

手塚お姉さんはどう考えても、二人がどうやって知り合ったのか分からなかった。