「安心して、全部解決したわ」橋本奈奈は白洲隆を慰めた。「旅行って聞くと遊びに聞こえるけど、結構大変なのよ。帰ってきたんだから、ゆっくり休んだ方がいいわ」
もう事は過ぎ去り、お父さんも今日退院できる。言わなくていいことは、奈奈は白洲隆の前であえて触れたくなかった。
「本当に大丈夫なの?解決したって?」彼は信じられない様子だった。
「本当よ」橋本奈奈は頷いた。「知ってるでしょう?私の英語はまあまあだから、友達が翻訳の仕事を紹介してくれて、少し副収入を得られたの。心配しないで、本当に困ったことがあったら、必ずあなたに助けを求めるわ」
「それはいいね。一体どの友達なの?僕にも紹介してよ」
「タイミングが悪くて、彼はちょうど用事があって行っちゃったの。今は多分もう平泉にいないわ。次にいつ戻ってくるかは、私にも分からないわ」橋本奈奈は手に持っているものを少し持ち上げた。「はい、お土産ありがとう。でも言っておくけど、私は旅行に行ってないから、お返しはないわよ」