第174章 きっと好きになる

斎藤お兄さんの一言で、橋本奈奈はすぐにいい子に変身し、斎藤お兄さんの指示一つ一つに従い、岡本茜の前で見せていたお姉さんのような威厳や気迫は微塵も感じられなくなった。

先ほどの二人の会話を、斎藤昇は一部聞いていた。

橋本奈奈のこの変化に対して、斎藤昇は嫌悪感を覚えるどころか、むしろ奈奈への思いがさらに深まったように感じた。

心配すれば混乱するというが、奈奈は岡本茜に対しては威圧的な態度で圧倒していたのに、彼に対してはいつもおっちょこちょいな様子を見せる。それは、彼が奈奈の心の中で本当に大切な人だからに違いない。

この発見により、斎藤昇の心は小さな翼が生えたかのように、舞い上がった。

座ってから、橋本奈奈はようやく我に返って説明した。「斎藤お兄さん、さっき岡本茜が言ったことは全部嘘です。私はそんなこと言っていません。誤解しないでください。あれは全部岡本茜の作り話です!」