第164章 殺気を放っている

「所詮、軍人なんて臭い奴じゃないの?」橋本絵里子は鼻で笑った。「私は軍人なんかと結婚したくないわ。一年中部隊にいて、私と過ごす時間なんてないじゃない。はっきり言えば、私も母さんみたいに、子供を産んでから一人で育てなきゃいけないの?手塚家は明らかに田舎者よ。私は都会育ちなのに、田舎に嫁いで農婦になるなんて。母さん、一体何を考えているの?軍曹がどうしたの?少佐だって私には興味ないわ。母さんが言ってたでしょう、橋本奈奈を産まなければ、父さんは間違いなく少佐になれたって。でも見てよ、今の父さんは入院するのにも娘からお金を借りなきゃいけないなんて、何の出世もない。自分の面倒も見られないのに、子供なんか育てられるわけないじゃない!」

彼女は今後、結婚するなら、相手は社会的地位があるだけでなく、最も重要なのは、相手の家がとても裕福でなければならないと考えていた。

彼女は橋本家で十分苦労してきたので、結婚後は二度とこんな思いはしたくなかった。

「何を馬鹿なことを言っているの?」伊藤佳代の顔色が変わった。「あなたはまだ子供なのよ。子供を産むとか産まないとか、人に聞かれたらどうするの。それに、お父さんはずっとお父さんよ。お父さんはずっとあなたを可愛がってきたのに、そんな風にお父さんの悪口を言うなんて、ひどすぎるわ。お父さんがどうして無能なの?あなたと奈奈がここまで大きくなれたのは、お父さんが育ててくれたからでしょう?あなたと奈奈が学校に行けたのも、全部お父さんが出したお金じゃない?絵里子、こんな話は二度と言わないで。これじゃお父さんに申し訳が立たないわ。」

「言わないなら言わないわよ、私だって言いたくないわ。」橋本絵里子は不満そうに言った。「父さんが私に優しいのは、奈奈が男の子じゃないからよ。もし当時奈奈が男の子だったら、橋本家に私の居場所なんてなかったはず。父さんが産んだんだから、育てるのは当たり前でしょう。私を育てて、学校に行かせるのは、当然の義務よ!」

伊藤佳代がまだ自分を叱ろうとしているのを見て、橋本絵里子は直接言った。「もういいわ、母さん。もう言わないで、うんざりよ。とにかく、この話は母さんの前でだけ言ったの。二度と言わないから、これでいいでしょう。」

なんて世の中なんだろう。本当のことを言う権利さえないなんて、本当に嫌になる!