第168章 信用できない奴

本来なら誰かが花を運ぶはずだったが、林康弘は機嫌が悪く、人に会いたくなかったので、自分の「新しいお気に入り」を見に来ることにした。

強がってみようとした林康弘は植木鉢に手を触れ、持ち上げようとした瞬間に後悔した。

重すぎて、彼にはとても運べなかった。

林康弘が諦めて、橋本奈奈を無視して誰か他の人を探そうとした時、それまで重くて持ち上がらなかった植木鉢が突然軽くなり、一気に地面から浮き上がった。

「あらまあ、おじいさん、手を離さないでくださいね。離したら私一人じゃ持てませんから、そうなったら二人とも下敷きになっちゃいますよ」相手の力が変化するのを感じた橋本奈奈は大きく驚いた。このおじいさん、大丈夫なのかしら、怖いわ。

「ふん」橋本奈奈だと分かると、林康弘は居心地悪そうに鼻を鳴らし、彼女が手伝いに来てくれたからといって、いい顔を見せることはなかった。