本来なら誰かが花を運ぶはずだったが、林康弘は機嫌が悪く、人に会いたくなかったので、自分の「新しいお気に入り」を見に来ることにした。
強がってみようとした林康弘は植木鉢に手を触れ、持ち上げようとした瞬間に後悔した。
重すぎて、彼にはとても運べなかった。
林康弘が諦めて、橋本奈奈を無視して誰か他の人を探そうとした時、それまで重くて持ち上がらなかった植木鉢が突然軽くなり、一気に地面から浮き上がった。
「あらまあ、おじいさん、手を離さないでくださいね。離したら私一人じゃ持てませんから、そうなったら二人とも下敷きになっちゃいますよ」相手の力が変化するのを感じた橋本奈奈は大きく驚いた。このおじいさん、大丈夫なのかしら、怖いわ。
「ふん」橋本奈奈だと分かると、林康弘は居心地悪そうに鼻を鳴らし、彼女が手伝いに来てくれたからといって、いい顔を見せることはなかった。
橋本奈奈の性格が良いのは、普通の十六歳の子供とは違っていた。
そうでなければ、他人のために手伝って、感謝されないどころか、誰が林康弘のような「おじいさん」と付き合って自分を苦しめたいと思うだろうか。
それでも橋本奈奈は気立てが良く、林康弘の不機嫌な態度など全く気にせず、一つ目、二つ目と手伝い、三つ目の植木鉢を運び終えたところで、もう手伝わないことにした。
「ふん、どうした、もうやめるのか?仏を送るなら西まで送れ、善は最後まで尽くせという言葉を知らないのか?今時の若い者は、根気も忍耐力もなく、いつも中途半端で、人も自分も疲れさせるばかりだ」あと二つの植木鉢しか残っていないのに、もう続けられないなんて、やはりダメだ。さっきまでの行動は全て演技に違いない。
汗びっしょりで、服が体にぴったりと張り付いている橋本奈奈は、今日二度目の叱責を受け、呆れ返った:「おじいさん、本当にまだ運ぶつもりですか?明日起きられる自信がありますか?普段の運動量は十分ですか?私からのアドバイスですが、薬用酒を用意したほうがいいですよ。夏だからって冷水シャワーなんかせずに、しっかりお湯に浸かって、体を温めてから、薬用酒で腰や腕、両足の筋肉をよくマッサージしてください。そうしないと、きっと一日は寝込むことになりますよ」