第185章 すぐに警察を呼ぶ

だから橋本奈奈が帰っても、大して意味はないだろう。あのお金は逃げられない。

でも、お父さんが帰ったら話は別だ。お父さんが帰ったら、お母さんがまだ手に入れていなければ、そのお金は絶対に手に入らなくなる。

「帰らない。私を家まで送って!」

「私は帰らないわ。帰りたければ自分で帰ればいいでしょう。私は、私はもう少し歩きたいの!」橋本絵里子は駄々をこね始め、どうしても橋本東祐を支えようとしなかった。

橋本東祐は怒りで顔が青ざめた。彼は今日の絵里子が本当に自分のことを心配してくれているのだと思っていた。この子はそれほど薄情ではなく、やはり親のことを思う心があるのだと。今になってみれば、それは彼の思い上がりだったようだ。

橋本奈奈が以前聞いた質問を思い出し、橋本東祐は深いため息をつくと、目を暗くして冷たく尋ねた。「今日、わざわざ私を外に連れ出して散歩に付き合ったのは、奈奈を家から誘い出すためだったのか?お前とお母さんは何をしようとしているんだ?」