第182章 私たちに隠し事がある

「絵里子、いい男と結婚したいなら、大学に行くべきよ。そうしないと、将来みんなが大学生なのに、あなたは高校卒業だけじゃない。それじゃ...」今の子供たちは、みんな高学歴になってきている。これは勉強ができるかどうかの問題じゃなく、他人の子供たちが皆大学生なのに、絵里子は高校生だけじゃ、聞こえが良くないわ。

現実的な話をすれば、どんな裕福な家庭が学歴の低い嫁を望むでしょうか?

「そのことは、もう少し考えてみます。」伊藤佳代にそう諭されて、橋本絵里子の考えも少し柔軟になってきた。

要するに、勉強は他でもない、自分をより良く見せるための包装紙のようなもので、将来体裁を保つためなのだ。

部屋にいた橋本奈奈は、伊藤佳代と橋本絵里子が何を話していたのか知らなかった。部屋から出てきたとき、伊藤佳代と橋本絵里子は家の中を大まかに片付けており、以前よりもずっと綺麗になっていた。

「ご飯にしましょう。」一ヶ月以上ぶりに、家族四人が同じテーブルで食事をすることになり、伊藤佳代は別世界のような懐かしさを感じた。

青菜一皿と炒め卵一皿を見て、橋本絵里子は少し食欲を感じた:「お母さん、お父さんまだ怪我してるんでしょう?お父さんの体のために良いものを作るって言ってたじゃない。豪華な肉料理とは言わないけど、せめて肉料理は必要じゃない?」

「明日ね、明日買うわ。」伊藤佳代は橋本絵里子を見て、余計なことを言わないように、できれば何も言わない方がいいと暗示した。

この一ヶ月余りの間に、伊藤佳代は十キロも痩せた。過去十年で蓄えた肉が、この一ヶ月でほとんど消えてしまった。これだけでも、この一ヶ月の伊藤佳代の苦労が分かる。

そんなに苦労しているのに、伊藤佳代のポケットにはいつも余裕がなかった。

橋本東祐が入院していた時、橋本東祐の滋養強壮に必要なものはほとんど橋本奈奈が用意していた。

伊藤佳代は時々橋本絵里子のために別メニューを作っていたので、伊藤佳代が十キロ痩せたのとは違い、この夏休み半ばで、橋本絵里子は三、四キロ太った。

今また四人家族で食事をすることになり、まず橋本奈奈は別の料理を用意しなくなった。そうなると、四人家族の食費は全て伊藤佳代の肩にかかってきた。

時々橋本絵里子に別メニューを作り、自分はいい加減に食べて一日を過ごすのなら、伊藤佳代にもできた。