第197章 折半

どうせ食事も終わったことだし、橋本奈奈は腕を組んで橋本絵里子を冷ややかな目で見つめた。「何を相談するの?」

「パパが奈奈は英語が得意だって言ってたわ。もし私に能力がないなら、誰かに教えてもらっても難しいでしょう?こうしない?この資料を私が先に翻訳して、間違ってたり訳せなかったところを直してもらうの。そうしたら、お金は半分ずつにしましょう。どう?」

伊藤佳代は口をもぐもぐさせ、橋本絵里子の言葉に不満そうだった。

資料の内容は絵里子が翻訳して、橋本奈奈はただ直すだけなのに、給料を半分も取るなんて、厚かましすぎるんじゃないの?

でも今日、伊藤佳代は橋本東祐にひどく叱られたばかりで、橋本東祐が「離婚」という言葉まで出したことを思い出すと、普段は大砲のように口うるさい彼女も、この時ばかりは固く口を閉ざし、余計な一言も言う勇気がなかった。