第200章 自分を反省する

奈奈は確かに絵里子より思慮深かった。絵里子は新しい服を手に入れると、すぐに次はどんな服を買おうかと考えるのに対し、奈奈はいつも家族のことを考えていた。

二人の娘を比べてみると、以前の自分は一体どこの神経が狂っていたのか、絵里子の方が奈奈より親孝行だと思っていたなんて。

橋本東祐と橋本奈奈の父娘の仲睦まじい様子を見て、傍らにいた橋本絵里子は不機嫌な顔をしていた。まるで世界中で橋本奈奈だけが良い娘で、思いやりがあって分別があり、自分は悪い娘というわけか?自分は今まで橋本奈奈を見くびっていたのだ。橋本奈奈は自分より上手に取り入るのが上手かったのだ。

橋本奈奈が本当に家族のことを考えて新しい服を買わないなんて信じられない。本当にそんなに欲しくないなら、なぜ二着の新しいドレスを自分にくれたりするのか!

橋本絵里子の心にはどれだけ怒りがあっても、この時は我慢するしかなかった。

しかし、橋本絵里子の機嫌が悪かったため、手が少し荒くなり、材料を何個か台無しにしてしまった。伊藤佳代は心配そうに見ていた。「絵里子、気をつけて。そんなに力を入れないで。材料を壊したら、私たちが弁償しないといけないのよ。」

絵里子が手工芸品を十個作っても、材料一つの弁償金にも足りない。

もし絵里子がこのまま壊し続けたら、この仕事は全部無駄になってしまう。

「!」橋本絵里子は目を見開いて、腹に溜まった怒りを抑えた。手元の手工芸材料を投げ捨てて、この仕事を辞めてしまいたかった。しかし、開学の時期が迫っていることを考えると、もうそんな癇癪は起こせなかった。心の中でどんなに不満があっても、大人しく仕事を続けるしかなかった。

橋本絵里子が本気で手工芸の仕事に取り組むようになってはじめて、去年母が彼女の学費を工面するために毎日深夜1、2時まで働いていたことがどれほど大変だったのか分かった。

橋本絵里子はたった4時間座っただけで、まだ夜10時だというのに、手工芸品はほとんど作れていないのに、腰は痛くて伸ばせず、目は乾いて涙が出るほどだった。