第213章 票集め

小学生がどんなに腕白でも、親の言うことを聞かなくても、「先生が言った」と持ち出せば、必ず素直に従うタイプ。

橋本奈奈が手塚教官を見る時のあの清らかで透明な眼差しを見て、唐澤夢子は突然、自分が恥ずかしくなるような感覚に襲われた。橋本奈奈が純粋すぎるのか、それとも自分たちが下劣すぎるのか?

入学初日、橋本奈奈が白洲隆と異常に親しげな様子を見せていたため、多くの人が橋本奈奈を自分を大切にしない女子だと思っていた。

しかし、たった一日の間に、多くの女子学生が手塚勇を見て春の気分に浮かれているのに対し、むしろ最も「早熟」なはずの橋本奈奈は本心を保ち、手塚勇を見る目は実に率直で素直だった。

この違いは、橋本奈奈と同じ寮の仲間たちにとって、とても大きな差だった。

「今日一日本当に疲れ切っちゃった。最初は軍事訓練が楽しそうだと思ってたのに、こんなに大変だなんて。中学の入試勉強よりもきつい。この軍事訓練っていつまで続くの?」一日が終わって、戸村琴は自分の体が完全に腐ったような感じで、汗臭さでいっぱいだった。

彼女は生まれてこのかた、こんなに「臭く」なったことはなかった。

最も耐えられなかったのは、今日一日中着ていた服が、濡れては乾き、乾いては濡れ、また乾くという繰り返しだったことだ。

「文句を言うのはやめなよ。今日はまだ軍事訓練の初日だよ。少なくとも半月はあるんだから、覚悟しなきゃ」橋本奈奈も疲れを感じていたが、戸村琴ほど大げさではなかった。手塚お兄さんは病院で会った時とは、本当に違う人みたいだった。

あの時の手塚お兄さんは、近所のお兄さんのように親しみやすかったのに、今日の手塚教官に対しては、橋本奈奈は全く挨拶する勇気が出なかった。以前の水を差し出した女子学生たちのように思われて、手塚勇に一蹴されるのが怖かったからだ。

「もう言わないで。これから十数日間をどうやって乗り切ればいいのか、考えたくもない」戸村琴は膝をつきそうになった。「軍事訓練がこんなに大変だと知っていたら、入学の時に病気になって、病欠届を出して、軍事訓練が終わってから学校に来ればよかったかな?」

河野雲見は自分のしびれた両足をさすりながら言った。「残念だけど、もう遅いわ。今から病欠届を出しても、戸川先生が認めてくれるかどうか」