「そういえば、斎藤教官が急いで去っていったのが気になりませんか?」三浦玲子は首を傾げながら言った。「他のクラスは今夜、教官のための送別会を開いているのに、私たちのクラスだけが例外です。たった一晩、いいえ、たった一時間の時間も取れないなんて、軍事訓練が終わるとすぐに去っていってしまいました。どういうことなんでしょう?どうして他のクラスの教官はそうじゃないんですか?」
「他のクラスの教官は私たちのクラスの教官ほどイケメンじゃないからね」唐澤夢子は当然のように答えた。
三浦玲子の顔が一瞬で曇った。「白井照子みたいに、いつも恋に夢中になるのはやめてよ。イケメンだからって忙しいことと何の関係があるの?斎藤教官が本当にそんなに忙しいなら、なぜ私たちの教官になったの?部隊には人がたくさんいるはずだから、誰か他の人と交代すればいいじゃない。わざわざ手塚教官を派遣して、手塚教官が忙しくなって戻され、今度は斎藤教官が来て、また同じことの繰り返し」
「そんなことを気にする必要ないでしょう。私たちが得をしたんだから。もし他の忙しくない教官が来ていたら、きっと私たちのクラスの二人ほどイケメンじゃないわ。ねぇ、私たちはただの高校生なんだから、そんな深くて複雑な問題を考える必要はないわ。大丈夫よ。他のクラスが送別会をしているなら、私たちは休養を取ればいいの。私はもう明日早く帰りたくて仕方がないわ」唐澤夢子は足を揺らしながら、今は帰宅することより幸せなことはないと感じていた。
みんな疲れていて、やっと軍事訓練が終わり、気持ちがリラックスしてさらに眠くなっていた。唐澤夢子のようなぼんやりした子にそんなふうに話題をそらされ、全員の思考が唐澤夢子に引っ張られて、すぐに眠りについた。
鈴木香織だけが完全に眠りにつく直前まで、三浦玲子の言葉には理由があるはずだと考えていたが、なぜなのか…
「バイバイ、週末に会いましょう」
「お願いします」
二週間の軍事訓練が終わり、ほとんどの人が数段黒くなり、かなりの体重を落として帰宅した。
いつものように、橋本奈奈は今週持ち帰る本をカバンに入れ、大院に戻ってから橋本家には直接帰らず、まず斎藤家に寄って荷物を置き、翌日また斎藤家に来て復習することにした。伊藤佳代と橋本絵里子に煩わされないようにするためだ。