第224章 斎藤家を狙う

橋本奈奈と橋本東祐が親密に寄り添い、父子の情愛を見せる中、自分は余計者のように脇に座って二人の背景にしかなれない橋本絵里子は、笑顔を保つのがやっとで、その場で崩れそうになった。

「お父さん、奈奈と話したいことがたくさんあるでしょう。私はお母さんのところに行ってくるわ」一年前、高校生の時は、お父さんがこんなに自分のことを心配してくれなかった。学校でいじめられていないか、楽しく過ごせているかなんて聞いてくれなかった。

お父さんの偏愛はひどすぎる!

橋本絵里子が伊藤佳代を探しに行くと言っても、橋本東祐と橋本奈奈は特に反応を示さず、そのまま会話を続けた。

橋本絵里子は立ち上がり、伊藤佳代の部屋の前で足を止め、不満げに振り返って橋本東祐を見た。橋本東祐が橋本奈奈と楽しそうに話し、自分のことなど全く気にかけていない様子を見て、橋本絵里子は歯ぎしりするほど腹が立った。