唐澤夢子は苦笑いを浮かべた。「玲子、それは違うわ。認めたくないけど、白井照子はかなり賢いの。私たち中学校の同級生だったけど、その頃から彼女はこうだった。イケメンで、成績が良くて、家が裕福な男子には誰にでも……とにかく、彼女は抜け目がないの。でも、そんな彼女でも成績は落ちたことがないのよ。考えてみて、私たちの1組に入っただけじゃなく、奈奈と同じように副級長になったのよ。本当に実力がないと思う?」
「白井照子は入学試験でどんな成績で私たちのクラスに入ったの?」河野雲見も驚いて、白井照子が毎日恋に夢中になっているのは知っていたけど、彼女の成績については、みんなあまりよく知らなかった。
「クラスで二位よ」鈴木香織は眼鏡を直しながら、すぐに付け加えた。「でも、橋本奈奈と比べたら、かなりの差があるわ」
橋本奈奈は入学試験で一位を取り、県庁所在地の二位よりもずっと高い点数だった。白井照子の成績は良かったけど、二位にも届かなかった。だから白井照子の入学点数は橋本奈奈と比べると、まるで太平洋ほどの差があったのだ。
そう考えて、鈴木香織は冷静に一言呟いた:変態!
もちろん、それは橋本奈奈のことを言っていた。
「へぇ、へぇへぇ」戸村琴は言葉に詰まった。「本当に全然気付かなかったわ」
橋本奈奈も驚いていた。自分の勉強だけに集中していて、クラスメートの成績にはあまり関心がなく、誰が二位で、その二位が自分の入学試験の点数とどれだけ差があるのかなんて気にしていなかった。
そのため、橋本奈奈は白井照子がそんなに優秀だとは全く知らなかった。「もういいわ、試験は終わったんだから、帰りましょう。良かろうが悪かろうが、考えても変わらないわ。今回ダメだったら、次は頑張ればいいじゃない」
「言うのは簡単よね、橋本奈奈。あなたはきっと良い点数を取ったでしょう」戸村琴は不愉快そうに言った。どうして一部の人はこんなに特別なのだろう。白井照子にしても橋本奈奈にしても。
白井照子は毎日男子を追いかけ回しているのに、どうやって勉強する時間があるのか、なぜ良い成績が取れるのか全く理解できなかった。橋本奈奈に至っては最も嫌な存在だった。教室にいる時は真面目に勉強するのに、教室を出るとすごくリラックスしている。