第254章 私への愛情を分析してみて

橋本絵里子は辛い物が食べられないだけでなく、少しでも辛いものに触れると顔や背中にニキビが出てしまうのだ。

以前、橋本家の料理を担当していた伊藤佳代は、当然橋本絵里子の習慣に合わせて料理を作っていた。そのせいで、かつては辛い物なしでは生きられなかった橋本東祐は、この好みを無理やり断ち切らなければならなかった。時々辛い物が恋しくなると、こっそり外で辛い物を買って食べていた。

以前、橋本東祐が黙っていたのは、伊藤佳代がそう言っていたので、橋本奈奈も辛い物が好きではないと思っていたからだ。

しかし今日、その嘘もついに暴かれる日が来た。

「いいえ、いいえ、私が作りますから。でも、家に唐辛子がないみたいです」伊藤佳代はまだ最後の抵抗をしていた。小黄魚にちょっとでも唐辛子を入れたら、絵里子はほとんど手をつけられなくなるからだ。