第240章 とても寛容

「花子、手伝いなさい」野村涼子は斎藤花子の反応を気にせず、自分が決めたことは絶対に変えないつもりだった。そもそもこのお嬢ちゃんは自分の家とは何の関係もないし、嫌いだろうが好きだろうが、何の違いがあるというの?

斎藤花子は口角を引き、裏口を開けて、橋本奈奈を中へ案内した。

斎藤家の裏口が開くのを見て、橋本絵里子は歯を食いしばり、さっき起こったことを完全に忘れたかのように、笑顔を作って割り込んでいった。「奈奈、斎藤家に置いてあるものがきっとたくさんあるでしょう。私が運ぶの手伝うわ」

「ちょっと待って」橋本奈奈は体を横に置いて、橋本絵里子を遮った。「ここは斎藤家よ、橋本家じゃないわ。あなたが入るのは不適切よ。本を運ぶの手伝いたいなら、いいわ。門の外で待っていて。私が運び出したら渡すから、家まで運んでくれればいいの。入る必要はないわ!」

橋本奈奈も意地悪になった。たとえここが斎藤家で橋本家じゃなくて、自分の一存では決められないとしても、橋本絵里子が斎藤家に入りたがれば入りたがるほど、絶対に入れさせない!

「なんでそんなに面倒くさいの?私も一緒に入ればいいじゃない?」橋本絵里子は怒りで顔が青ざめた。

白洲恵美子は笑った。「本当に厚かましいわね。橋本奈奈が言ったでしょう。ここはあなたの家じゃないのよ。入りたいからって入れると思う?それに、橋本奈奈とあなたを比べないでよ。橋本奈奈は斎藤家の鍵まで持ってるのよ。あなたに比べられる?」

白洲恵美子は橋本絵里子をぐっと引き止めた。「橋本奈奈、本を運んでいって。私が彼女を見てるから」

「うん、ありがとう」橋本奈奈は頷いて、斎藤家に入り、本を運び始めた。

斎藤花子も中に入って手伝おうとしたが、物置部屋に橋本奈奈の物がすでにたくさん積まれているのを見て、困った顔をした。「こんなにたくさんの本、何回も運ばないといけないわね。ここにある本の多くは中学校の時のものでしょう?あなたはもう高校生だから、中学校の本はきっと使わないわ。運び出したり運び込んだりするのも大変だし。当面使わないものは、ここに置いておいたら?今必要なものだけ持って行けばいいわ」これからは橋本奈奈が彼らの家に来て本を読むのは、本当に不便になるだろう。

「本当に都合のいい時が来たら、その時に持って行けばいいわ」