「その後、彼は重点大学に合格して、私たちの学校の名誉を高めたんです。盛り上がりましたよね?」
唐澤夢子は怒って机を叩いた。「くそっ、白井照子の動きが早すぎるわ。副級長なのに、奈奈みたいに自覚を持って、良い手本を示せないの?私もイケメンを見に行くわ!」
言い終わるや否や、唐澤夢子はバスケットコートに向かって走り出し、残された人々は呆然と見送った。
「この唐澤夢子ったら...」戸村琴は口角を引きつらせながら、唐澤夢子に感心せざるを得なかった。白井照子と比べても、ほんの少しましなだけだと。
「奈奈さん、顔色が悪いようですが?」白洲隆はそういった騒ぎには興味がなく、さっきまで楽しそうだった橋本奈奈の硬い表情を見て心配そうに尋ねた。「具合でも悪いの?」
「ううん」橋本奈奈は首を振り、心の中で考えた。そんなに偶然なはずがない、考えすぎなのだろう。「いいわ、見たい人は見に行って。私はノートを写さないといけないから」