第275章 優等生と付き合う

年上の人がどんなに立派な仕事をしていても、自分の子供の将来の成功を願うものだ。

「お父さん、それはどういう意味?お母さんにお父さんの言ったこと、全部言いつけてやろうか!」井上雨子は不満げに言った。自分のどこが橋本奈奈に劣るというのか。お父さんが奈奈のお父さんを羨むなんて。奈奈は偽物で、ただの計算高い女、演技が上手いだけの見せかけだ。

そんなことをしたければ、とっくに奈奈と親友になっているはずだ。

でも残念ながら、自分は奈奈のように陰険な性格じゃない。素直な性格で、好きなものは好き、嫌いなものは嫌い。演技なんてできないし、偽善者にもなれない。

「はいはい、怒らないで」井上のお父さんは娘の肩を叩いた。「今どこに行くの?クラスメートはまだ帰ってないみたいだけど」

「ちょっと物を取りに来ただけ。もう行くところ」雨子は怒り気味に言った。本を一冊忘れたことに気付かなければ、橋本東祐が人に囲まれている様子も見なかったし、何より腹立たしいのは、さっきのお父さんの言葉だった。

いつか、お父さんはわかるはず。自分という娘が奈奈よりどれだけ優れているか。

自分のような娘を持つことこそ、お父さんの本当の幸せなのに。

「わかった、じゃあ早く行ってきなさい。そうだ雨子、この半年間、学校でどんな友達ができたか、一度も話してくれなかったね。来週は君の誕生日だけど、前みたいに友達やクラスメートを家に呼んでお祝いしない?橋本奈奈は家も近いし、今年は奈奈も誘ってみたら?」

さすが學年一位で、かつての省の一位だけあって、井上のお父さんは橋本奈奈が神童で終わらないかもしれないと感じていた。

中学三年になると、男女の成績の差が出てくると言われ、高校ではその差がさらに顕著になるという。しかし今回の中間テストの成績を見ると、奈奈は文系理系ともに優秀で、ほぼ満点という成績だった。

少なくとも、雨子がこのような子と親しくなることに害はないはずだ。

友達を作るなら、もちろん「良い」友達を作るべきで、井上のお父さんは雨子が奈奈と仲良くなることを心から望んでいた。

さっきの戸村のお母さんたちの話を、井上のお父さんは全部聞いていた。

奈奈と同じ寮に住んでいる子たちは、勉強面で奈奈にたくさん助けてもらい、成績が安定しただけでなく、向上もしたという。