「1組の担任として、私は誇りに思います。なぜなら、私たちのクラスの生徒たちは本当に優秀で、素晴らしい成績を収めているからです。成績表の下には、1組と他の1年生クラスとの各種データの比較も載せていますので、保護者の皆様もご参考にしてください」
戸川先生がそう言うと、保護者たちは成績表を受け取るや否や、まるでスキャナーのように目を走らせ、大量の名前の中から自分の子供の名前を探し始めた。自分の子供の名前と成績を確認した後、今度はクラスで一番成績の良い生徒を探し始めた。
保護者たちが次々と、クラスで一番成績が良いのは先ほど拾い子と疑われた生徒だと気づいた時、多くの保護者の心は重くなった。
本当に拾った子であろうと、そうでなかろうと、自分たちは子供に全力を尽くして愛情を注いできたのに、子供の成績はこの程度。どうして他人の子供は、あれほどの苦労を経験しているのに、逆に信じられないほど良い成績を取れるのか。あの足の不自由な人は本当に運が良いと。
橋本東祐の顔が喜びに輝いているのを見て、白洲成木は微笑んで言った。「奈奈の成績は本当に素晴らしいですね」
「奈奈はいつも思慮深く、私に心配をかけたことは一度もありません」橋本東祐は笑顔でリラックスした様子を見せ、橋本奈奈の話になると一層誇らしげに続けた。「隆の成績も随分上がりましたね」
「奈奈のおかげです」息子の成績は確かに見違えるほど良くなっており、白洲成木は白洲隆のことを話す時、以前のような永遠の失望感は感じられなくなっていた。
「当然のことです。隆と奈奈は同級生で、しかも隣の席。お互いに助け合うのは良いことです。うちの奈奈は何もかも良いのですが、性格が優しすぎて、いじめられやすいんです。実は、私の方こそ感謝しなければいけません。隆君がいなければ、学校で奈奈はどんなにいじめられていたか分かりません」この点について、橋本東祐は非常に確信を持っていた。
「彼は男の子ですから、奈奈の側にいて、それくらいの役には立っているでしょう」白洲成木は気にせず笑って言った。先ほどの井上雨子の言葉だけでも、白洲成木は自分の息子が橋本奈奈にとって少なからず役立っていることを確信していた。