第266章 全員一致で反対

井上雨子が橋本奈奈の寮に行けば、橋本奈奈の日々が賑やかになるだろうと彼女は信じていた。

「戸川先生、お願いできませんか?」彼女たちのクラスでは、橋本奈奈の寮にだけ空きがあり、そこに引っ越すのが一番都合が良かった。

「それについては確認が必要だね。一旦戻っていいよ」戸川先生は直接承諾も拒否もしなかった。

「ありがとうございます!」井上雨子は笑顔で、満足げに職員室を後にした。

白井照子は歯ぎしりをしながら職員室を出て、追いかけていった。「井上、これからどうなるか見てなさい!」今回は井上雨子に利用され、踏み台にされた。次は絶対に井上雨子を懲らしめてやる。

白井照子の警告を聞いて、井上雨子は一瞬足を止めたが、すぐにまた歩き出した。

白井照子はもともと彼女と仲良くする気などなく、この一ヶ月間ずっと彼女をいじめていた。今日、彼女が白井照子を告げ口しなくても、白井照子が彼女をいじめるのを止めるとは思えなかった。

だから、白井照子の「見てなさい」も「見なくても」も同じこと。少なくとも彼女は白井照子を懲らしめて、自分の仕返しができたのだから。

白井照子は井上雨子より先に教室に戻り、自分の机の上に積まれた試験用紙を見て驚いた。「もう全部配られたの?うちのクラスの一位は誰?何点だった?」

「聞かないほうがいいわよ」大野麗は白井照子に手を振って言った。この質問は知らないほうがいい。さもないと、白井照子は今日眠れなくなるだろう。

「……」白井照子は信じられず、ペンを取って自分の各科目の点数を合計した。自分の成績を見て、白井照子はかなり満足していた。各科目の平均点が93点もあったからだ。

自分の成績は分かった。次は橋本奈奈の成績を何とかして聞き出さなければならない。

橋本奈奈の他の科目が数学と同じように優秀なはずがない。数学で100点を取るのは難しいが、国語よりはずっと簡単だ。橋本奈奈が一科目でもミスをすれば、今回の試験で彼女を追い越して1組の一位になれるチャンスがある。

白井照子はずっと機会を窺って橋本奈奈の成績を聞こうとしていたが、あっという間に昼になってしまった。

橋本奈奈が食事を終えて教室に戻り、次の予習の準備をしようとしたところ、戸川先生に職員室に呼ばれた。