第266章 全員一致で反対

井上雨子が橋本奈奈の寮に行けば、橋本奈奈の日々が賑やかになるだろうと彼女は信じていた。

「戸川先生、お願いできませんか?」彼女たちのクラスでは、橋本奈奈の寮にだけ空きがあり、そこに引っ越すのが一番都合が良かった。

「それについては確認が必要だね。一旦戻っていいよ」戸川先生は直接承諾も拒否もしなかった。

「ありがとうございます!」井上雨子は笑顔で、満足げに職員室を後にした。

白井照子は歯ぎしりをしながら職員室を出て、追いかけていった。「井上、これからどうなるか見てなさい!」今回は井上雨子に利用され、踏み台にされた。次は絶対に井上雨子を懲らしめてやる。

白井照子の警告を聞いて、井上雨子は一瞬足を止めたが、すぐにまた歩き出した。

白井照子はもともと彼女と仲良くする気などなく、この一ヶ月間ずっと彼女をいじめていた。今日、彼女が白井照子を告げ口しなくても、白井照子が彼女をいじめるのを止めるとは思えなかった。