校長は橋本絵里子の成績を見て、やはり電話で確認してみると、目の前にある成績表と全く同じ結果だった。
皆高校の教師なので、付属高校の合格ラインがどれほどか、校長が知らないはずがない。付属高校の合格ラインは平泉高校よりもずっと高く、橋本絵里子のこの成績では付属高校の生徒になることは不可能なはずだった。
そうなると説明は一つしかない。きっと橋本家が大金を出して、橋本絵里子を付属高校に入れたのだ。
橋本家が橋本絵里子を付属高校に通わせるためにそれほどの大金を出せるということは、橋本家の経済状況は噂で言われているほど困難ではないということを意味する。そうなると、橋本奈奈の両親が彼女のために学校の近くに小さな部屋を借りたことは、家計を圧迫しているとは言えないだろう。
校長は確信していた。橋本奈奈の学校近くの部屋を3年間借りても、橋本絵里子が付属高校に通うための「寄付金」の半分にも満たないだろうと。