外に立っている人を見て、橋本奈奈は目を輝かせた。「斎藤お兄さん、お帰りなさい。いつ帰ってきたの?早く入って、お茶を入れますから」
斎藤昇を見た途端、橋本奈奈の輝く瞳は三日月のような形になり、親しげに斎藤昇の袖を引っ張って、家の中へ導いた。
斎藤昇は首を垂れ、橋本奈奈の玉のように白い小さな手が、自分の小麦色の肌に映えて、一層繊細で白く、艶やかな輝きが目に眩しかった。
斎藤昇は口元を引き締めて微かな笑みを浮かべ、左手に持っていた荷物を全て右手に移し、手を上げて橋本奈奈の柔らかく温かくて滑らかな小さな手を直接握り、長い脚を踏み出して、橋本奈奈と肩を並べて家の中に入った。
「斎藤お兄さん、座って。お水を入れますから」橋本奈奈はまだ状況を飲み込めず、客人のもてなしに夢中だった。
斎藤昇は少し残念そうに橋本奈奈の手を離した。「急がなくていいよ、ゆっくりで」そして右手に持っていた荷物を床に置くと、荒れた手のひらには深い赤い跡が残っていた。荷物がかなり重かったことが分かる。
しかし奈奈の手を握るためなら、斎藤昇はその痛みなど少しも気にならなかった。
「斎藤お兄さん、熱いお茶をどうぞ」お茶を入れた後、橋本奈奈は遅ればせながら床に積まれた斎藤昇が持ってきた荷物に気付いた。「斎藤お兄さん、気を遣いすぎですよ。毎回こんなにたくさん持ってきて。もう冬至だし、年末も近いのに、まさか家に誰もいないから、私に料理を作ってもらいたいってことじゃないでしょうね?」
以前の斎藤お兄さんの世話は、もっと控えめだったのに、今はどうしてこんなに堂々としているのだろう?
「どうした、忘れたのか?私に料理を作ってくれると約束したじゃないか、約束を反故にするつもり?」小さな嫁さんが入れてくれたお茶を飲みながら、斎藤昇はまるで甘い味を感じているかのようだった。
「いいえ」橋本奈奈は手を振った。約束を破るわけがない。「私があなたを招待するんだから、食材も私の家から出すべきでしょう。あなたが持ってくる必要なんてないのに」
斎藤昇は右手を上げ、橋本奈奈に向かって差し出した。
橋本奈奈は理解できずに目を瞬かせ、斎藤昇が差し出した手のひらを呆然と見つめた。斎藤お兄さんは何かを求めているの?
斎藤昇は目で合図を送り、橋本奈奈の手を見た。