第338章 幸せのために一度だけ自分勝手に

「自分に聞いてみなさいよ。私はあなたじゃないから、どうしてあなたの改心の決意がどれほどで、どれだけ続くのかなんて分かるわけないでしょう。改めるのはあなたで、私じゃないんだから。野村おばさん、私に『できるかしら』なんて聞くなんて、からかってるの?」

「奈奈、もしあなたが結婚したら、あなたにとって夫と子供、どちらが大切?」

子供!

ほとんど考える必要もなく、橋本奈奈はその答えを出せた。

橋本奈奈が口を開こうとした瞬間、野村涼子は笑った。「私も馬鹿ね。どうしてこんな質問をしたのかしら。あなたはまだ若いのに。結婚はおろか、いつ結婚できるかも分からないのに。こんな質問をさせるなんて、私も本当に混乱してるわ」

「……」橋本奈奈は唇を噛んで、思い切り目を白黒させた。

いつ結婚できるか分からないだなんて、彼女が頷きさえすれば、すぐにでも結婚できるのに。しかも相手は目の前に座っているこの女性の息子なのに!