第340章 母と子の駆け引き

橋本奈奈を正しく導ける人がいるということは、斎藤家の人にとっては確かに良いことだが、相手に別の思惑があるのではないかと心配で、それは斎藤家にとって大きな問題となる。

「お母さんにそれくらいの判断力もないと思うの?」

「それは何とも言えないよ」斎藤花子は眉をひそめた。母は冷静な時は確かに賢明な女性だが、一度思い込むと全く理性的ではなくなる。

「何が言えないって?」ちょうど入ってきた野村涼子は最後の一言を聞いてしまった。「お爺様がまだ外にいるのに、二人して部屋に隠れておしゃべりなんて、どういうことかしら?お父さんとお爺様を外で居心地悪く待たせておくの?」

斎藤花子は少し後ろめたく感じ、野村涼子が本当に最後の一言しか聞いていなかったことを確認して、やっと安心した。「私、お爺様と将棋を指しに行きます!」