第352章 お二人は知り合いですか?

「奈奈、宏はお客様よ。どうしてそんな言い方をするの」橋本絵里子は橋本奈奈と大野宏の間の火薬の匂いが濃くなってきたのを感じ、急いで諭した。

もし橋本奈奈が大野宏を怒らせて帰らせてしまったら、大野宏が自分に怒りを向けるかもしれない。自分が奈奈の姉だからといって、これまでの努力が全て無駄になってしまうではないか。

大野宏に対してこれほど心血を注いできたのに、まだ何の見返りも得られていないのだから。

「お姉ちゃん、私の言ってることのどこが間違ってるの?傍観者の方が冷静に見えるものよ。先輩、どう思います?」橋本奈奈は目を細め、話題を変え、それまで田中勇に冷たい態度を取っていたのに、突然このような形で田中勇を引き込んできて、誰もが予想外だった。

「……」突然名前を呼ばれた田中勇は一瞬戸惑ったが、すぐに言った。「状況はよく分かりませんが、少なくとも表面上は、奈奈の言うことに何の問題もないように聞こえます。あなたは...奈奈のお姉さんですよね、奈奈にもっと優しくした方がいいと思います。私は奈奈のような賢くて可愛い妹が欲しいのに、いないんです。あなたは幸せ者ですよ」